ここまでやるかあ?518日間のはい上がり(2/2 ページ)

» 2012年02月24日 14時36分 公開
[森川滋之,Business Media 誠]
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 コンサルタントの井戸敏夫さんのことは憶えているよね? あの9階から落ちてもかすり傷だけだった運のいい人だ。

 自分のメルマガやブログも続けていたけど、他人のメルマガやブログにも目を通していた。いろんな刺激を受けるし、執筆やセミナーのネタになることもあるし、それに自分のことを書いてくれていたらお礼をしないといけないしね。

 ある日、営業関係のメルマガを読んでいたら、井戸さんのサイトの話が載っていた。井戸さんのサイトの作りは巧妙だというんだ。それで、俺も早速見に行った。井戸さんは当時情報商材をサイトで販売していたんだけど、どこへどう行っても何かを買わないとサイトから出られないようになっていたんだ。不思議な作りだった。

 もちろんブラウザごと終わらせてしまえば問題ないんだけど、なんか途中で抜けるのが後ろ髪引かれる思いがするんだ。それで、自分に関係ありそうなコンテンツを注文することにした。

 注文フォームにはコメント欄があったので「以前、××さんの交流会でお会いした金田貴男です。変な壺を売っているわけではないと自己紹介した者です。井戸さんの自己紹介がとても印象に残っています。あれは勉強になりました。もしお時間があるのなら、一度お目にかかりたいのですが、いかがでしょうか」と書いた。

 交流会のあと調べたんだけど、井戸さんはWebマーケのコンサルとしてかなり有名人で、何冊も本を出している人だった。俺から見たら雲の上の人だったので、かなり勇気がいった。ダメ元だったんだ。

 ところが、その井戸さんから電話がかかってきたんだ。

 「もしもし、金田さんのお宅ですか。井戸と申します」

 俺はびっくりして、何で電話番号を知ってるんだろうと思った。それで、まぬけなことにそれから聞いたんだ。そしたら、申し込みフォームにあったからとの答え。

 「教材買ってくれてありがとうございます」と井戸さん。

 「いえ、とんでもない。ところで私のことは憶えておられましたか?」

 「ええ、憶えてますよ。壺の人でしょう? ベタベタなギャグだったのが、逆に新鮮でした」

 「恐縮です」と、赤面しながら俺。

 「金田さん、セミナーを毎週毎週やっているんですよね」

 「なぜご存じで?」

 「金田さんのホームページを見たら、毎週セミナーの開催予定と実績がありました。実は、私はライブセミナーってやったことがないんです。なので、運営のアドバイスとお手伝いをしてくれないかと思いまして」

 こういうわけで、井戸さんのセミナーの手伝いをすることになったんだ。井戸さんは、俺に会う口実を与えてくれたのかもしれない。だって、井戸さんにアドバイスすることなんて想像もつかなかったから。

 俺はただ自分の経験に基づいて、セミナー開始前に準備することとか、スタッフの動きで気になったこととか、ドリンクの配布のタイミングだとか、そんなことを伝えただけなんだけど、井戸さんの誉め方がすごいんだ。

 「フォローが冴えてますね!」とか「そのアドバイスもすごいねえ!」とか、とにかくこちらが気持ちよくなるような言葉ばかりを掛けてくれる。俺はすっかり乗せられてしまって、かなり一生懸命手伝うようになっていた。そのせいで執筆も大変になっていたんだけど、井戸さんの手伝いをやめる気にはならなかったんだ。

 井戸さんは俺の悩みも聞いてくれた。セミナー参加者を増やしていくにはアフターフォローが必要だと思っていたんだ。しかし、参加者全員に100%のアフターフォローは物理的に無理だと思った。

 最初は1年間のアフターフォローをすると打ち出そうと思ったのだけど、悪習慣改善のコンサルをしているわけだから、1年というのはどうも迫力不足だと思った。それで自分が生きている限り一生サポートということにした。

 そこまでは良かった。問題は頻度だ。月2回までメールを受け付けるということにしたかった。これでも全員がそうしてきたらキャパシティーを超えるが、メルマガの反応率などと照らし合わせて考えるとせいぜい3%ぐらいの人しか利用しないだろう。月2回ならなんとかなる。今後増えていったら頻度を変えようぐらいに考えた。

 それを井戸さんに話したら、彼はこう言ったんだ。「もっと徹底的にやったほうがいいよ。月2回とかけちくさいことを言わずに、月何回でもOKって打ち出すんだ」

 「え〜、さすがにそれは無理ですよ」

 「ここまでやるかあ? と思ってはじめて、人は感動するんだ。人が感動してようやくビジネスになるんだよ。大丈夫心配はいらない。みんな覚悟だけ受け取ってくれるよ」

 俺は井戸さんの勧めに従うことにした。やってみたら確かにそれで忙しくなるということはなかった。しかし、口コミは明らかに増えたんだ。覚悟を打ち出せば、依存心の強い人よりも、同じように覚悟を持った人が集まってくるということなのかもしれない。

 「ここまでやるかあ?」は俺の座右の銘になった。

著者が提唱する「333営業法」とは?

 著者・森川滋之が、あの「吉田和人」のモデルである吉見範一氏と新規開拓営業の決定版と言える営業法を開発しました。3時間で打ち手が分かるYM式クロスSWOT分析と、3週間で手応えがある自分軸マーケティングと、3カ月で成果の出る集客ノウハウをまとめた連続メール講座(無料)をまずお読みください。確信を持って行動し始めたい方のためのセミナーはこちらです。

著者紹介 森川滋之(もりかわ・しげゆき)

 ITブレークスルー代表取締役。1987年から2004年まで、大手システムインテグレーターにてSE、SEマネージャーを経験。20以上のプロジェクトのプロジェクトリーダー、マネージャーを歴任。最後の1年半は営業企画部でマーケティングや社内SFAの導入を経験。2004年転職し、PMツールの専門会社で営業を経験。2005年独立し、複数のユーザー企業でのITコンサルタントを歴任する。

 奇跡の無名人シリーズ「震えるひざを押さえつけ」「大口兄弟の伝説」の主人公のモデルである吉見範一氏と知り合ってからは、「多くの会社に虐げられている営業マンを救いたい」という彼のミッションに共鳴し、彼のセミナーのプロデュースも手がけるようになる。

 現在は、セミナーと執筆を主な仕事とし、すべてのビジネスパーソンが肩肘張らずに生きていける精神的に幸福な世の中の実現に貢献することを目指している。


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