富士通が11月10日、NTTドコモ向けの2010年度冬春モデルの新機種、新CM発表会を開催した。今回は富士通と東芝が携帯電話事業を統合し、新会社「富士通東芝モバイルコミュニケーションズ」を設立してから初めての商戦期を迎える。発表会ではFケータイに加え、Tブランドの「REGZA Phone T-01C」も紹介された。
富士通が今冬から来春にかけて発売するモデルは、従来型のフィーチャーフォンが「F-01C」「F-02C」「F-03C」「F-04C」「F-05C」、スマートフォンがT-01C、LTE対応のデータ通信端末が「F-06C」という布陣になっており、同社執行役員常務の大谷信雄氏は「これまでの発表の中で最高に興奮している」と話した。「T-01Cは日本人がAndroidを開発したらこうなるという典型。防水、ワンセグ、おサイフケータイ、日本語変換など、素晴らしいものに仕上がっている」と自信を見せた。
F-02CはANTEPRIMA、F-04Cは109の人気3ブランドとコラボレートしているのも特徴。こうしたコラボ端末は「フィーチャーフォンだからこそできるもの」と大谷氏は話し、スマートフォンが注目を集める中、フィーチャーフォンについては「ブランドと一緒になってお客さんの個性に合った物作りをしていくことが1つの答え」との考えを示した。
富士通はケータイを商品化するにあたり「ブロードバンド」「ケータイテクノロジー」「デザイントレンド」の3分野でリーダーになることを目指す。ブロードバンドではLTEに向けた対応機種を積極的に投入し、ケータイテクノロジーでは加速度/温湿度/ジャイロセンサーなどを搭載することで、人間の行動検知や健康支援などを行う。富士通 モバイルフォン事業本部長の坂田稔氏は、同社が目指すヒューマンセントリック(人間中心の)ケータイの形として「LTEでデータを送ってクラウドで解析し、行動支援をする。最終的には人間の思考や行動を解析し、必要とする情報をユーザーに提供したい」と説明した。
そのヒューマンセントリックを体現する機能として新機種の一部モデルに提供するのが、「ロケーションレーダー」「温湿度センサー」「乗り物&ロケーションマナーサポート」だ。
ロケーションレーダーにはAR(拡張現実)の技術を取り入れており、ケータイをかざすと「食べログ」「ぐるなび」「ホットペッパー」に登録された飲食店のアイコンが画面に現れ、店舗までのルート案内もしてもらえる。日本気象協会の監修を受けた温湿度センサーでは、各種指数やアドバイスを受けられる。
「乗り物マナーサポート」と「ロケーションマナーサポート」は、GPSや加速度センサーと連動したユニークな機能。前者では加速度センサーで乗り物の揺れを検知し、バスや電車などに乗っているときに着信すると、マナーモードに変更をするか自動で確認してくれる。後者ではオートGPSを活用し、普段マナーモードに設定している場所を端末が覚え、同じ場所でマナーモードにしていないと、自動でマナーモードに設定してくれる。このほか、端末を携帯しながら走ると、ランニングフォームについてアドバイスしてくれる「高橋尚子のウォーキング/ランニングクリニック」のアプリもプリセットしている。
F-01C、F-02C、F-03C、F-04C、F-05Cには、「フレンドリーメッセージ」対応のマチキャラとして、バカボンのパパ、ドロンジョ様、リーフロボットをプリセット。端末の状態を各キャラクター独特の口調で知らせてくれるほか、温度と湿度の変化に応じたアドバイスもしてくれる。
富士通ケータイではおなじみの防水性能(IPX5/IPX8)と防塵性能(IP5X)は、F-01C、F-02C、F-03Cがサポート。T-01Cはスマートフォンでは珍しくIPX5/IPX7相当の防水性能に対応しており、今回の商戦期では大きな差別化ポイントになりそうだ。
カメラ機能にもこだわり、F-01C、F-02C、F-03Cには低ノイズ化を実現するソニーのCMOSセンサー「Exmor(エクスモア)」と、高速撮影やノイズ処理が可能な画像処理エンジン「Milbeaut Mobile」を採用。1320万という高画素とも相まって、美しい写真を撮れる。また、T-01CはHDサイズ(1280×720ピクセル)、F-01C、F-02C、F-03CはフルHDサイズ(1920×1080ピクセル)の動画撮影機能もサポートしている。
新機種のフィーチャーフォンの中でも特に高いスペックを有するのがF-01Cだ。特に注力したのがタッチパネルの動作速度。富士通は「激速(ゲキハヤ)タッチパネル」とアピールし、「iPhone 4の4倍ほど速くなっている」(坂田氏)という。2010年夏モデルの「F-06B」よりも高速でタッチ操作ができるようチューニングを施し、ブラウザではスクロールの滑らかさが2倍、タッチの応答速度が1.5倍、文字入力時の予測変換の表示は3.5倍、デコレーション絵文字の選択は1.7倍速くなっている。
このほか、microSDの容量がいっぱになるまで7.5枚/秒(VGA撮影時)の高速連写を続ける「無限連写モード」、キヤノンやエプソン製の無線LAN対応プリンタと接続して、F-01Cで撮った写真を印刷したり、F-01Cのアドレス帳に登録した住所や名前を通常ハガキや年賀ハガキに印刷したりできる連携機能も備えている。
タッチパネル対応のケータイやスマートフォンが増える中、富士通が別のアプローチで“タッチ操作”を提案するモデルが、背面に2インチの大型ディスプレイとタッチセンサーを備えたF-03Cだ。F-03Cではこれら2つのデバイスを使うことで、閉じたままメールやブラウザ、カメラ、ワンセグなどを操作できる。サブディスプレイを表示させたままディスプレイ部を開くと、メインディスプレイにも同じ内容が表示されるので、例えばサブディスプレイで受信メール表示させて、そのまま開いて返信するといったことができる。ただケータイを開くと自動で返信画面になるといった連動はしない。
富士通 モバイルフォン事業本部 マーケティング統括部長の松村孝宏氏が「日本人が日本人のために作ったスマートフォン」と説明するのが“REGZA Phone”のT-01Cだ。おサイフケータイ、ワンセグ、防水など日本ならではの機能を備えるのはもちろん、独自のユーザーインタフェース「NX!UI」を新規で用意した。また「モバイルレグザエンジン3.0」により、ワンセグやYouTubeなどの動画コンテンツを高画質で楽しめる。
大谷氏はスマートフォンについて、指紋認証など、これまでFケータイで培ってきた機能も横展開していく意向があることを明かした。実際に同社は 2007年にドコモ向けWindows Phoneとして「F1100」を供給しており、同モデルはFeliCaチップも備えている(おサイフケータイには対応しない)。「変化は予想を超えたスピードで動いている。今の勢いだとスマートフォンへ移行していくだろう。一方でケータイの完成度も上がっている。(スマートフォンとケータイ)それぞれが使いやすい環境を提供していきたい」
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