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iOS/Androidアプリも巧みに取り込む「Windows 10」でMicrosoft復権なるか?本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/2 ページ)

» 2015年04月30日 15時30分 公開
[本田雅一ITmedia]
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2018年までにWindows 10デバイスは「10億台」へ

 そこで、ユニバーサルアプリの魅力を示す数字として、Microsoftが挙げているのが「10億」という数字だ。

 Windows PCは現在、190カ国111言語で使われており、稼働台数は15億台と言われている。この数はiOSよりもAndroidよりも多い。しかし、あくまでもPCという枠の中のものであり、伸び盛りのスマートフォンには影響力が及ばない。それゆえ、モバイルを最優先にすると、Windows以外のプラットフォームにおける実装が先に来てしまう。

 Microsoftの歴史で初めて、Windowsのメジャーアップデートを無償で提供(発売後1年間、対象OSはWindows 7/8.1/Phone 8.1)するのも、この問題に手を入れるためだ。Windows 10のプレゼンテーションを担当したOperating System担当上級副社長のテリー・マイヤーソン氏は、1年間の無償アップグレード期間の間にPC、タブレット、スマートフォンなどで、Windows 10への移行と新製品の訴求を行う。

 マイヤーソン氏は「2〜3年のうちには、Windows 10デバイスが10億台になる」と話したが、Windows 10の提供開始最初の1年で獲得する無償アップグレードに、かなりの数を稼ぐことになるはずだ。

米MicrosoftのOperating System担当上級副社長のテリー・マイヤーソン氏。(会計年度の)2018年までに10億台のアクティブなWindows 10デバイスが存在することになるだろうと述べた

 複数ジャンルのデバイスにまたがって、最新のWindowsを動作させる環境を作り出すことができれば、複数ジャンルが連動する「共通の仕掛け」を盛り込めるようになる。例えば、AppleがAirPlayを発表したとき、iOSをアップデートすることで、世の中にあるiOSデバイスから一斉にAirPlayが可能になった。そしてiOSの機能を強化することで、さらに機能や連動性を強化できた。

 iOSはPC以外のApple製品で広く採用され、今やMacをはるかに超えるプラットフォームになっているが、Windows 10は同じような仕掛けをPCからスマートフォンまで、より幅広いレンジのデバイスで同時に仕掛けられる環境を得ることになる。

 つまり、アプリケーションやサービスの開発者にとっては、「10億デバイス」の大きな市場が浮かび上がってくることになるのだ。「iOSよりもAndroidよりも稼働デバイス数が多い、10億デバイス市場向けにユニバーサルアプリを充実させていこう。ここが次のビジネスチャンスだ」というのが、Microsoftの率直なメッセージと言えよう。

 1つのアプリケーションで、多様なデバイスをサポートできる点は開発者側にとっても魅力になるが、一方で視点を変えると厳しい見方もできる。10億デバイスのうち、エンドユーザーが「“個人的に”肌身離さず使っているデバイスは何なのか?」という、デバイスのポートフォリオを考えねばならない。

 無料でのWindows 10アップグレード啓蒙や、対応デバイスのプロモーションなどにより、Microsoftは10億のデバイスにWindows 10を1年で送り込むというミッションを完遂するだろう。しかし、10億のうちどのぐらいがスマートフォンになるだろうか?

 Windows Phoneは優れたモバイル向けOSだが対応ソフトは少ない。Windows 10が事実上、PCとPCベースのタブレットだけにとどまるのであれば、デバイスのカバレージは今までとあまり変わらないことになる。

 そこでMicrosoftは、Android用アプリとiOS用アプリのプログラムコードを読み込み、Windowsで動作させる仕組みを提供するという。Androidに関しては、内蔵されたAndroidサブシステムによりAndroidのコードを実行する環境を用意し、iOSアプリに対してはWindows用ソフトウェア開発ツールの「Visual Studio」でiOSアプリの開発プロジェクトファイルを読み込み、実行コードを生成可能にする。

 まさにソフトウェア開発ツールで物事を解決するMicrosoftらしい手法で、デモではiPad用のプロジェクトをその場で読み込んで動かしていた。しかし、各OS間の機能差をどう吸収するかなどの問題もあり、互換性がどの程度のレベルなのかは現時点で判断できない。

 Microsoftとしては、スマートフォンでの存在感不足を補うため、この仕組みを通じて他プラットフォーム開発者にWindows向けアプリを提供してもらい、それを起点に同じアプリをWindowsタブレット、PCにも広げてほしいと考えているのだろう。

Androidのホテル検索アプリをWindows 10搭載のWindows Phoneで動作させているデモ。説明しているのは、同社プログラムマネジャーのアグネシカ・ガーリング氏
iOSアプリのObjective-Cコードを「Visual Studio」で読み込んでコンパイルし、Windows 10上で動作させているデモ

 しかし、このシナリオには決して低くないハードルがある。タブレット向け、あるいはデスクトップ画面でのマルチウィンドウ操作、それぞれにおいて使いやすいアプリケーションにするには、画面設計ごとのデザインとユーザーインタフェース設計が必要だからだ。将来、開発ツール側で複数の画面設計を盛り込む作業を省力化できるかもしれないが、現状かなり大きな負担であることは間違いない。

 だからこそ、「iOSやAndroidのアプリをVisual Studioで読み込みユニバーサルアプリとする」機能で補おうというのだろうが、ではWindows Phone向けにアプリを開発するエンジニアが増えたとして、同時にデスクトップ画面やタブレットに最適化したユーザーインタフェースを持つアプリをどのぐらい作ろうとするだろうか。

 Microsoftは、Windows 10で実に美しいアプリケーション開発の枠組みを提示した。ナデラ氏にCEOが代わり、推進してきたことが、Windows 10のタイミングで1つの形となる。しかし、実際に開発者たちがこの提案に乗って、エンドユーザーにとって有益な価値(すなわちよりよいアプリや操作環境)につながるかどうかは、まだまだ未知数だ。

 しかし、ユニバーサルアプリが受け入れられ、あらゆるデバイスが同一バージョンのOSで動作し、ネットワークで連動する世界が構築できたならば、それはMicrosoftにとってだけでなく、多くのPCユーザーにとっても望むべき環境がやってくるだろう。

MicrosoftはWebサイト、.NET FrameworkやWin32(デスクトップアプリ)、Android、iOS向けのコードをWindows 10向けユニバーサルアプリ開発に利用できるように支援し、Windowsブランドの復権を狙う

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