第1回 最強の全部入りは? 本当に“持ちやすい”機種は?――Android18機種を横並び比較最新スマートフォン徹底比較(2011年夏モデル編)(4/4 ページ)

» 2011年08月26日 19時22分 公開
[田中聡,ITmedia]
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通信機能:シャープ勢が強い

photophoto Xperia rayは、acroでは非対応だったテザリングが利用できる(写真=左)。ドコモの一部スマートフォンで利用できるDLNAアプリ「Twonky Mobile Special」(写真=右)

 無線LANは2010年冬モデルではIEEE802.11b/gのみに対応したモデルが多かったが、今回のモデルではP-07C/003Pを除き、すべての機種がより高速な11nもサポートしている。端末をモバイルWi-Fiルーターとして利用できるテザリングは、ドコモはXperia acro以外の機種が対応しているが、テザリング利用時の通信料は1万395円に上昇するので、あまり現実的とはいえない。データ通信向けのプラン「定額データプラン フラット バリュー」(+定額データ スタンダード割2)なら上限を月額5460円に抑えられるが、通話は利用できない。

 今回はノミネートしていないが、auの「HTC EVO WiMAX ISW11HT」はWiMAX通信を+525円、テザリングは追加料金なしで利用でき、「ISフラット」利用時なら月額5460円(+525円)で済む。イー・モバイルの「Pocket WiFi S II」も追加料金なしでテザリング可能で、「スマートプラン」(+シンプルにねん)なら月額4580円だ。

 赤外線通信は、この夏で対応機種が一気に増えた。日本メーカーはもちろん、海外メーカーではXperia acro、(ノミネートしていないが)9月に発売予定のauの「MIRACH IS11PT」も対応した。DLNAはINFOBAR A01を含むシャープ製端末が独自アプリ「Smart Familink」を搭載しており(SH-12Cはバージョンアップで利用可能になる)、端末の写真や動画をフリック操作でAQUOSで再生、AQUOSブルーレイに録画した番組などを端末で視聴できる。また、ドコモのスマートフォンは「Twonky Mobile Special」に対応しており、無線LAN経由でDLNA対応機器のコンテンツ(写真、動画、音楽など)をスマートフォンからアクセス、またスマートフォンのコンテンツを他の機器でアクセスできる。アプリは以下からダウンロードできる。

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 HDMI出力はケーブルが必要になるが、面倒な設定をせずにテレビなどに出力できるのが魅力。画面をそのまま出力できるので、大画面でネットを見たりゲームを楽しんだりもできる。GALAXY S IIはHDMI端子を備えておらず、変換アダプターを使う必要がある。Xperia acroはケーブルで接続するだけで自動でギャラリーが立ち上がるので、写真や動画を素早く出力できる。SH-12C、IS12SH、006SH、007SHは撮影した3D静止画と動画を3Dテレビに出力可能だ。

 国際ローミングは多くの機種がW-CDMAまたはCDMAとGSMをサポートしているが、IS11SHとIS12SHはCDMAのみ。IS11SはGSM圏内では通話のみ対応で、パケット通信はできない。

通信機能
無線LAN テザリング Bluetooth 赤外線通信 DLNA HDMI出力 GPS FMトランスミッター 国際ローミング
F-12C IEEE802.11b/g/n V2.1+EDR W-CDMA+GSM
Optimus bright L-07C IEEE802.11b/g/n V3.0 W-CDMA+GSM
MEDIAS WP N-06C IEEE802.11b/g/n V2.1+EDR W-CDMA+GSM
P-07C IEEE802.11b/g V2.1+EDR W-CDMA+GSM
GALAXY S II SC-02C IEEE802.11a/b/g/n V3.0+HS W-CDMA+GSM
AQUOS PHONE SH-12C IEEE802.11b/g/n V3.0 W-CDMA+GSM
AQUOS PHONE f SH-13C IEEE802.11b/g/n V3.0 W-CDMA+GSM
Xperia acro SO-02C IEEE802.11b/g/n V2.1+EDR W-CDMA+GSM
Xperia ray SO-03C IEEE802.11b/g/n V2.1+EDR W-CDMA+GSM
INFOBAR A01 IEEE802.11b/g/n V3.0 CDMA+GSM
G'zOne IS11CA IEEE802.11b/g/n V2.1+EDR CDMA+GSM
Xperia acro IS11S IEEE802.11b/g/n V2.1+EDR CDMA+GSM(GSMは通話のみ)
AQUOS PHONE IS11SH IEEE802.11b/g/n V3.0 CDMA
AQUOS PHONE IS12SH IEEE802.11b/g/n V3.0 CDMA
Sweety 003P IEEE802.11b/g V2.1+EDR W-CDMA+GSM
AQUOS PHONE 006SH IEEE802.11b/g/n V3.0 W-CDMA+GSM
AQUOS PHONE THE HYBRID 007SH IEEE802.11b/g/n V3.0 W-CDMA+GSM
シンプルスマートフォン 008Z IEEE802.11b/g/n V2.1 W-CDMA+GSM
※スペックは2011年8月26日時点のもの。

対応機能&サービス:MEDIAS WPが“ほぼ全部入り”

 カメラは1610万画素CCDを備える007SHと、裏面照射型CMOSセンサーを備えるXperia acroとXperia rayがハイスペックだ。画質を重視するなら、これらの機種を選んでおけば間違いはない。シャープの“3兄弟”SH-12C、IS12SH、006SHは2眼カメラを備えており、3D写真と動画を手軽に撮影できる。GALAXY S II、SH-12C、Xperia ray、IS12SH、006SHはインカメラを搭載しているので、自分撮りはもちろん、対応アプリを用いれば、ビデオチャットも楽しめる。GALAXY S IIは、この中では唯一フルHD(1920×1080ピクセル)の動画を撮影できるのも見逃せない。

 今夏は日本向けサービスに対応したスマートフォンが増えたが、P-07Cと003Pはおサイフケータイ非対応、F-12C、SH-13C、IS11CAはワンセグ非対応など、サイズなどの問題で一部の機能を省いたモデルもある。赤外線通信、防水、ワンセグ、おサイフケータイ、SIMロック解除にすべて対応しているのは現時点ではMEDIAS WPのみ。あの薄さで“ほぼ全部入り”を実現したのは見事と言うほかない。IS11Sはこの中では唯一キャリアメールに対応しておらず、9月のアップデートによる対応を待っている状況だ。Xperia acroの売れ行きはここしばらくはSO-02Cがトップを走っている一方で、IS11Sにはそこまでの勢いが感じられない。これはキャリアメール未対応が少なからず関係しているように思える。

photo Xperia rayは緊急地震速報をプリセット。設定も比較的多い

 緊急地震速報はF-12C、SH-13C、Xperia ray、INFOBAR A01、IS11SH、IS12SH、006SH、007SHは初期状態から利用でき、SH-12Cはアップデートにより利用できるようになった。その他の機種は現時点では対応しておらず、アップデートにより対応する予定だ。緊急地震速報の設定が比較的充実しているのがSH-12C、SH-13C、Xperia rayで、マナーモード中の鳴動をオン/オフにしたり、着信音を確認したりできる(くれぐれも周りに大勢の人がいるところでは確認しないようにしたい)。SH-12CとSH-13Cは鳴動時間を1〜30秒で設定できる。

 SIMロック解除は国内で使う分にはあまりメリットはないように思えるが、海外で現地のSIMを入れて使うというときには重宝する。ドコモは2011年4月以降に発売したモデルはSIMロック解除が可能で、ソフトバンクも008Zが可能となっている。

対応機能とサービス
カメラ(アウト) カメラ(イン) 動画撮影サイズ 防水 ワンセグ おサイフケータイ キャリアメール 緊急地震速報 SIMロック解除
F-12C 有効約810万画素CMOS 1280×720ピクセル
Optimus bright L-07C 有効約510万画素CMOS 1280×720ピクセル 対応予定
MEDIAS WP N-06C 有効約510万画素CMOS 1280×720ピクセル 対応予定
P-07C 有効約510万画素CMOS 640×480ピクセル 対応予定
GALAXY S II SC-02C 有効約810万画素CMOS 有効約200万画素CMOS 1920×1080ピクセル 対応予定
AQUOS PHONE SH-12C 有効約800万画素CMOS×2 有効約32万画素CMOS 1280×720ピクセル
AQUOS PHONE f SH-13C 有効約800万画素CMOS 1280×720ピクセル
Xperia acro SO-02C 有効約810万画素CMOS 1280×720ピクセル 対応予定
Xperia ray SO-03C 有効約810万画素CMOS 有効約32万画素CMOS 1280×720ピクセル
INFOBAR A01 有効約805万画素CMOS 1280×720ピクセル
G'zOne IS11CA 有効約808万画素CMOS 1280×720ピクセル 対応予定
Xperia acro IS11S 有効約810万画素CMOS 1280×720ピクセル 対応予定 対応予定
AQUOS PHONE IS11SH 有効約805万画素CMOS 1280×720ピクセル
AQUOS PHONE IS12SH 有効約805万画素CMOS×2 有効約31万画素CMOS 1280×720ピクセル
Sweety 003P 有効約510万画素CMOS 640×480ピクセル 対応予定
AQUOS PHONE 006SH 有効約800万画素CMOS×2 有効約31万画素CMOS 1280×720ピクセル
AQUOS PHONE THE HYBRID 007SH 有効約1610万画素CCD 1280×720ピクセル
シンプルスマートフォン 008Z 有効約503万画素CMOS 640×480ピクセル 対応予定
※スペックは2011年8月26日時点のもの。


 主要機能の対応状況を見ると、赤外線通信、ワンセグ、おサイフケータイ、防水にすべて対応するMEDIAS WPと007SHが目を引く。シャープのSH-12C、IS12SH、006SHは防水でないのが惜しいが、3D表示対応のQHD液晶、3D撮影、DLNA、HDMI出力もサポートしており、性能と対応サービスのバランスが良い。防水が不要ならAQUOS PHONEの3兄弟、海外で使うならW-CDMA+GSMとSIMロック解除対応のSH-12Cが最もオススメできる。FeliCaと赤外線通信を除けば、GALAXY S IIも十分なスペックを誇る。自分に必要な機能を見極めてスマートフォンを選んでほしい。

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