Web技術の標準化が進んだことで、Webアプリケーション実行プラットフォームとしてのWebブラウザは横並びで評価されることが増え、パフォーマンスや使いやすさといった面でユーザーに評価され、好みのプログラムが選ばれるようになった。近年は「Windows標準搭載」という面でのプレゼンスしか持たなかったIEだが、MicrosoftではIE 11について「IEを搭載していることこそがWindowsの強み」と強調してはばからないほど自身を持っているようだ。
同社によれば、IE 11が他のブラウザに対して優位としているのが「パフォーマンス」と「省電力性」だ。

右側ウィンドウにアニメーション動作するBingホームページ、左側ウィンドウにパフォーマンスモニタを表示させたデスクトップ。右側でさまざまな操作を施してもCPU使用率が数%からほとんど上昇しない(写真=左) WebKitのJavaScriprtベンチマークSunSpiderの比較グラフ。グラフが短い方が処理が高速なことを意味する。参考程度のデータではあるが、MicrosoftがIE11に抱く自信のほどがうかがえる(写真=右)特に後者については、IE上でアニメーションや多少複雑なアプリケーションが動作していたとしても、CPU使用率はほとんど上昇せず、極めてモバイル環境でのバッテリー動作時間に優しいつくりとしている。それを実現する仕掛けの1つは、処理の一部をGPUなど専用ハードウェアに割り振っている点で、これが実行効率を向上させている。Preview版でも全体的に軽快なパフォーマンスで、ページのスクロールや拡大縮小を行ってもスムーズに動作するのが好印象。2リンク先のページを先読みしてあらかじめレンダリング処理をしておくことで、スワイプ動作でページを切り替えても画面の書き換え処理が発生せず、ぱっと目的のページが表示される。また参考ではあるが、SunSpider(JavaScriptベンチマークテスト)のベンチマーク結果も紹介されていたので上記写真を参照してほしい。
ひと昔前まで、“Web標準への対応”がIEの至上命題の1つだった。MicrosoftのWeb開発者カンファレンスであるMIXでは、毎回こうしたIEの標準対応や過去の資産との互換性問題についてのデモストレーションと議論が行われていた。だが、近年はこうしたトレンドもひと段落し、現在では前述したパフォーマンスや省電力性でライバルブラウザと直接渡り合う段階に達している。
一方でWeb標準への取り込みも引き続き進んでおり、今回のIE 11は「WebGL」もサポートされた。WebGLはWebブラウザ上での3Dレンダリングを可能にする標準仕様もので、ほかの主要Webブラウザではすでにサポート済み。Microsoftは単にWebGLサポートするだけでなく、より高速処理が可能という点をアピールすることで、IE利用のメリットを訴求する。
また、新たなストリーミング配信規格・技術「MPEG-DASH」(Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)にも対応し、プラグインなしでWebブラウザで同規格を用いたストリーミング動画表示を可能としている。デモンストレーションでは、Netflixの動画配信サービスをIE 11上で閲覧できる様子が紹介された。

IE 11で3Dレンダリングが可能なWebGLをサポート。IE 11ならではの特徴として、タッチ操作へのインテラクションを含む複雑な処理を行ってもパフォーマンスが落ちない点をうたっている(写真=左) MPEG-DASH(Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)をサポートし、プラグインなしで動画ストリーミング配信に対応。Netflixの動画配信サービスもModern UI版IEでそのまま参照できる(写真=右)
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