Snow Leopardが登場!! Macはどうなる!?座談会 後編(3/4 ページ)

» 2009年10月02日 16時16分 公開
[ITmedia]

余計なところを変えないのがいい

Snow Leopardのシステム環境設定画面

元麻布 僕がMacを使っていていいなと思うところは、余計なことを変えないところですよ。例えば、Windowsはコントロールパネルの「アプリケーションの追加と削除」が次のバージョンでは「ソフトウェアの追加と削除」になったりとか、細かいところも一杯変わるんですよ。もう、変えなくていいところまで手を加えるわけです。しかし、アップルはソフトウェアだけで売ろうとしないから、変えなくていいところは変えないんですよ。ずっと前からずっと同じで、かえってそれは楽。マイクロソフトは、変わったところをアピールしないとWindowsを買ってもらえないから変えるじゃないですか。でも、アップルはソフトウェアを売って商売している訳じゃない、Mac OSを売って商売してる訳じゃない。

長濱 逆に私は、Mac OSは変わっていくからみんなが買っているのかなと思っていました。

松尾 洗練されていくってのはありますけれど、基本的な部分ってのは全然変わっていない。まぁ2000年にMac OS Xのパブリックβが出て、それから後は大きな仕組みは変わってない訳ですよ。今度Finderが64ビットになるとか、完全なCocoa化するとか、そういう話はありますけれど。

元麻布 それは、使ってパッと分かる部分ではないし。

長濱 アピールしにくいところしか、進化しなかったわけですよね。

松尾 そこでアピールする必要がないっていうのかな。

元麻布 逆にWindows XPからVistaの時みたいな変化がMac OSにあったら、みんなが石を投げると思いますよ。

松尾 Mac OS 9から10に変わる時にみんな石を投げましたからね。

元麻布 そう、投げましたよ、βの時にみんな。変える時は、ドラスティックでガバッっと変えるんですよ。

田中 だけど、ちゃんと移行しやすいように、68KからPowerPCのときも、PowerPCからインテルCPUに変わったときも、エミュレーションの環境とかを整えて何とか動かすとかちゃんとやっているので、そういうところはいいと思うんですよね。

元麻布 マイクロソフトみたいに、毎回変えなくていいところまでかちゃかちゃ変えて、とかはしない。マイクロソフトは逆にソフトウェアを売っている会社だから、違うことをやらないと買ってもらえないってのがあるので。

マルチタッチが次世代を切り開く

Windows 7ではマルチタッチを標準でサポートする

田中 今後のアップルについてはどうでしょう?

松尾 今のデスクトップとノートの形態だけだと、これ以上はそうは伸びないと思います。ただ、うわさに出ている新しいモバイルプラットフォームというのが出てくれば、今のiPhoneやiPodと同じように、Mac OS Xをベースにした、別形態の市場が開けてくる。結果的に、全体としてみた場合にはシェアが例えば30%〜40%まで行くってことはあると思います。

田中 そういうコンパニオンデバイスというか、iPhoneのようなものがあって、普通にMacがあってという主従の関係とかは変わらないんですかね?

松尾 それは開発環境とか、常にそれに触れている、デスクトップで触れているって部分に関しては維持されると思うんですけれど。VAIO type Pにしてもフォームファクタのモバイルプラットフォームってのはこれから主流になってくると思うし。ただ1つ問題なのはキーボードの部分だと思うのです。その辺りで、みなさんの使い方がどのように変わってくるか。タブレットPCが、別の大きさになってどう戻ってくるかとかが、これからの見どころかと思っています。

田中 一応、Windows7ではマルチタッチをアピールしていくことになりますが。

元麻布 やはり、タブレットPCの延長線上にあって全然駄目だと思う。10年やり続けてものにならないものは駄目だと思う。

松尾 ジョブズがタブレットPCの失敗をみて、これをアップルに持ってくればどうにかなるんじゃないか、という発想で始めたのがiPhoneだと話を聞いたことがあります。それをコンパクトなサイズに縮めたわけですよね。そこにマルチタッチという独自のテイストを加えて成功まで導いた。タブレットPCが、あのままでうまくいくとは思えなかった。例えばハードウェアの大きさを変えるとか、OSをかなり変えていくとかしないと、駄目だったと思うんですよね。

日本HPの「TouchSmart PC」は、一足先にマルチタッチ操作に対応していた

田中 画面サイズという意味では、日本HPの「TouchSmart PC」で25.5型のワイド液晶ディスプレイ一体型PCでマルチスクリーンをサポートしているのですが、やっぱり画面が大きくなっただけで、何というかiPhoneを使っているようなエキサイティングな体験とかは難しいんですよね。

松尾 デスクトップPCのマルチタッチってのはかなり無理があると思う。腕の重さがあるじゃないですか。常時それを維持してポイントしなくちゃいけないというのは、人間工学的に不可能に近いです。

元麻布 iPhoneって、パーソナルコンピュータではないですよね? いわゆる古い考え方だと。だからMacとも別のものだし、インテルがいう言葉の中ではMID(Mobile Internet Devices)に1番近い。で、iPhoneとMacの間では直接的なアプリケーションの互換性はありません。ある必要もない。逆にいうとタブレットPCが駄目なのは、Windowsのソフトウェアを動かそうとするから駄目なんですよ。そこを捨てないから。だって、キーボードとマウスで使うアプリケーションを、タッチやペンで使っても全然よくない。その成功体験を捨てきれない限りは、多分成功しないんじゃないかと思います。

 専用のプラットフォームだって、マルチタッチのパネルだけで4万や5万円もするんです。それだけで全然話にならない。だからその分レンジを大きくしなくちゃならないし、そのぶん重くなるし、持っていられないですよ。

長濱 iPhoneが、マルチタッチでこれだけ受け入れられたのはキーボードがないからかしら。

元麻布 完全にないことを前提に作ってるでしょ、だから成功する。

長濱 クラムシェルのような形態でタッチパッドを入れようとすると、どうしてもキーボードに逃げることができちゃうじゃないですか。だからアプリケーションの開発が、いざとなったらキーボードに逃げればいいやって発想になったりして、成長しないのかなって思ってたんですよ。

元麻布 逃げるも何も、キーボードがあるんだから使わなきゃ損なんだもん。

長濱 結局そうなってしまうんですよね。ただ、Macintoshのアップルの思想として、誰でも使える、初心者でも使えるってことが、例えばOSのGUI化だったりするじゃないですか。そうすると、アップルの思想を突き詰めていくと、やっぱりキーボードが使えない人でも使えるっていう……。

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