WiMAX 2+対応ルーター「HWD15」は買い?/モバイルWi-Fiルーターのアップデート悲喜こもごもルータープリンスの「5分で知る最近のモバイル通信&ルータ事情」(1/2 ページ)

» 2014年08月14日 18時57分 公開
[島田純,ITmedia]
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WiMAXハイパワー、WiMAX 2+、4G LTE対応のHWD15が登場

photo WiMAXハイパワーにも対応した「HWD15」

 6月20日に発売されたNAD11に続いて、WiMAX 2+対応のモバイルWi-Fiルーター「Wi-Fi WALKER WiMAX 2+ HWD15」が、KDDIとUQコミュニケーションズ、およびそのMVNOから発売されている。

 HWD15はHuawei製のモバイルWi-Fiルーターで、同社製のモバイルWi-Fiルーターは、「Wi-Fi WALKER WiMAX 2+ HWD14」に続いて2機種目となる。

 HWD15は、HWD14と同じくauの4G LTE(FDD-LTE)にも対応しており、実人口カバー率99%を誇るauの4G LTEエリアでも高速通信が利用できる。ただし、auの4G LTEエリアで接続するための「ハイスピードプラスエリアモード」を利用した月は、1005円(税別)の料金が加算されるほか、ハイスピードプラスエリアモード利用時の通信量が月間7Gバイトを超えると、WiMAX 2+とWiMAXを使う「ハイスピードモード」利用時も通信速度制限の対象となってしまうため、必要に応じてハイスピードプラスエリアモードで利用するようにしたい。

 HWD14からの変更点としては、WiMAXハイパワーに対応することでWiMAXの電波が弱いエリアでの通信が安定する点が大きい。そのほか、クレードルの対応によって固定回線のアクセスポイントとして利用できること、連続待受時間が延長されていることも特筆すべき点で、スペック面では着実にバージョンアップしている。

 ただし、HWD15より一足早く発売されたNAD11では、国内のモバイルWi-Fiルーターで最薄タイとなる8.2ミリの薄さや、Wi-Fi側が802.11ac対応していることによる通信速度の高速化・安定化といった、尖った特徴があるのと比べると、HWD15のスペックはやや地味である点は否めない。WiMAX/WiMAX 2+だけでなくauの4G LTEエリアでも通信する人や、NAD11よりも長い連続通信時間を求める人向けの製品といえる。

 Huawei製のWiMAX 2+対応モバイルWi-Fiルーターは、前モデルであるHWD14は通信が不安定であったり、Wi-Fi接続時の通信速度が出にくいなどの問題が多数報告されており、この点がHWD15ではどう改善されているのかも注視したい。

 WiMAX 2+対応のモバイルWi-Fiルーターは、サービス提供開始から1年以内に、HWD14、NAD11、HWD15の3機種が発表されているものの、WiMAX 2+利用者向けの「機種変更」にあたる手続きは存在しない。

 そのため、例えば既存のHWD14ユーザがHWD15を使おうとした場合、通常の携帯電話やデータ通信端末で行える「機種変更」ではなく、既存のWiMAX 2+契約を一度解約の上、再度新規に契約するか、ネットオークションなどを利用して端末だけを購入する必要がある。

 UQコミュニケーションズのロードマップによると、WiMAX 2+サービスは現行の下り最大110Mbpsから下り最大220Mbpsへの高速化を2014年度内に提供開始する予定で、下り最大220Mbpsのサービスを利用するためには、下り最大220Mbpsに対応する端末を利用する必要がある。

 将来、下り最大220Mbps対応端末が登場しても、現状と同様に機種変更にあたるメニューがないと、既存のWiMAX 2+ユーザーが下り最大220Mbpsの対応端末を利用するには、一度解約してから再度新規契約するという面倒な手続が必要になってしまう。この点は、今後のサービス拡充に合わせて改善を願いたいところだ。

最近はテレビチューナー付きモバイルWi-Fiルーターがトレンド

 イー・アクセスとウィルコムが合併して新しく誕生したワイモバイルからは、ワンセグ/フルセグチューナーを搭載するモバイルWi-Fiルーター「Pokcet WiFi 303HW」が発売された。

photo TVチューナー内蔵の「303HW」

 303HWの最大の特徴は、テレビチューナーを搭載していること。ワンセグやフルセグに対応しないスマートフォンやタブレットでも、同機種とWi-Fi接続した状態でテレビの視聴が可能になる。なお、303HWは本体にディスプレイを搭載しているが、303HW単体ではテレビ視聴はできず、303HWとWi-Fi接続されたスマートフォンやタブレットの1機種のみ、テレビ視聴が可能になっている。

 通信面では、発売済みのモバイルWi-Fiルーター「GL09P」や「GL10P」と同様に、下り最大110MbpsのAXGPのほか、旧イー・アクセスのLTE(1.7GHz帯)、ソフトバンクモバイルの3Gネットワークの1.5GHz帯/1.7GHz帯/2.1GHz帯に対応している。GL09PとGL10Pには、それぞれソフトバンクモバイルの3Gネットワーク(2.1GHz帯)に対応するためのソフトウェア更新が提供されているが、303HWでは発売当初から同ネットワークが使える。

 ワイモバイルオンラインストアでは、303HWの本体価格は4万2000円(税込、以下同)、24回の分割払いで1750円/月、毎月の通信料から割り引く月額割引が1750円/月の、いわゆる「実質0円」機種となっている。なお、本体価格と月額割引の額は、新規契約・機種変更時ともに同額だ。

 ワイモバイルの「Pocket WiFiプラン(にねん)」では、月額料金が3991円となるため、本体代を一括で支払った場合の支払金額は2241円/月、分割払いした場合は3991円/月となる。

 ワイモバイルは、ワイモバイルまたはソフトバンクモバイルのどちらかが販売するモバイルWi-Fiルーターとスマートフォンを契約している場合、パケット定額への加入など一定の条件を満たすことで、スマホの通信料を最大で月額1008円を割り引く「Wi-Fiセット割」も引き続き提供している。「Nexus 5 EM01L」などワイモバイル(旧イー・モバイル)のスマートフォンを契約している人は通信料がお得になる。

 純粋なモバイルWi-Fiルーターとは少々異なるが、303HWと同じくワンセグ/フルセグ視聴に対応し、モバイルWi-Fiルーターとしても使える「TV BOX」が、ドコモから発売されている。

photo モバイルWi-Fiルーターとしても使える「TV BOX」

 TV BOXは、ドコモオンラインショップ上で「iPhoneでもフルセグ・ワンセグ・NOTTVが楽しめる録画対応チューナー」と紹介されている通り、モバイルWi-Fiルーター機能を前面にアピールしている製品ではないが、テザリング機能を有しており、モバイルWi-Fiルーターと同様にインターネット接続が利用できる。

 従来のデータ通信端末とは異なり、TV BOXはドコモの新料金プランで新しく提供される「デバイスプラス500」(月額500円※税別、以下同)と、ISPサービスである「spモード」(月額300円)を組み合わせて、合計月額800円で利用する。テザリング機能などで発生するパケット通信については、新料金プランの「シェアグループ」内で利用可能な通信量を共有する形となり、TV BOXに合わせたデータ通信プランなどは用意されない。

 TV BOXの販売価格はドコモオンラインショップにて1万1880円(税込)で、通常のモバイルWi-Fiルーターなどの機種よりも安く設定されている。一方、テザリング時の通信速度は下り最大112.5Mbps、上り最大37.5Mbpsで、ドコモが東名阪エリアで提供している下り最大150Mbps/上り最大50Mbpsのサービスには対応しない。モバイルWi-Fiルーターとして考えた場合はある程度の割り切りが必要な製品ではある。

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