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» 2014年08月11日 16時30分 公開

鈴木淳也の「まとめて覚える! Windows 8.1 Update」:3つのOSを1つにする「次期Windows」で何が変わるのか?――消えたSurface Miniの行方 (3/3)

[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]
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スタートメニューが復活した「デスクトップ版Threshold」はどうなる?

 以前に次期Windowsこと「Threshold」に関するウワサをまとめたとき、米ZDNetのMary Jo Foley氏が「Thresholdには複数のSKUが用意され、そのうちの1つは“デスクトップ専用”となり、スタートメニュー復活のほか、デフォルトの起動画面がデスクトップになる」という話を紹介した。

 SKUは「Modern Consumer」「Traditional Consumer」「Traditional Enterprise」の3種類が用意され、1つめがWindows 8以降のModern UIをベースにしたもの、2つめがデスクトップ専用、3つめがデスクトップ専用で主に企業向けというものだ。では、ナデラ氏のいう「単一のOSコア」という話で、この複数のSKUはどうなるのだろうか? 同件については、決算報告の質疑応答で米Goldman SachsのHeather Bellini氏が質問している。

 これに対するナデラ氏の回答を要約すると、これまで説明してきたように「単一のOSコア」とは「単一の開発チームとして1つのOSコア」を持つという意味で、究極的にはすべてのスクリーンサイズをカバーするユーザーインタフェースを持ち、さらにそこで共通に動作するユニバーサルアプリを実現するのがポイントだという。

 一方でSKUは「セグメントごと」に用意され、1つはエンタープライズ、1つはOEMというように、1つのコアを基礎にした複数の製品をMicrosoftのユーザーすべてに対して提供していくことを強調している。

 ここで重要なのは、「顧客にはこれまで通り市場に適した製品を提供していくが、実際にはMicrosoft内部で大きな変化が起きている」ということだ。

 現在のMicrosoftは内部的に2つの大きなミッションがある。1つは前述のWindows開発チーム一元化のような組織改編で、さらにNokiaの携帯部門統合で発生する人員の効率化だ。もう1つはWindows 7以前のOSを利用するユーザーを次の世代へと引き上げることで、その役割をThresholdに負わせようとしている。

 Windows関連の最新情報を多く提供している前述のMary Jo Foley氏は、「Microsoft rumored to be planning to replace 'Surface' branding with 'Lumia'」「Windows 'Threshold': More on Microsoft's plan to win over Windows 7 users」という2つの記事で、この辺りの事情に触れている。

 まずNokia買収を完了したMicrosoftは、スマートフォンやタブレットを含む製品群の「リブランディング」の必要性に直面している。現在も「Nokia」「Lumia」という名称を継続利用しているが、特にNokiaについては遠からず改称の必要がある。

 現在、フィンランドのエスポー(Espoo)を本社とする旧Nokia携帯部門の名称は「Microsoft Mobile」となっているが、この辺りの話題が2014年末あるいは2015年3月に開催される世界最大級のモバイル関連展示会「Mobile World Congress」くらいまでのタイミングで発表されるだろう。

 またMicrosoftとNokiaで別々に存在する製品ブランドも見直しが行われ、Mary Jo Foley氏の言うように「“Surface”の名前を“Lumia”に改称する」という話も出ている。

 遅々として進まないWindows 8/8.1以降のOSへ、ユーザーを誘導していくことも重要だ。特にデスクトップOSのシェアでいまだ5割を超えるWindows 7は(Net Market Share調べ)、延長サポートの終了する2020年より前の段階で何とかしなければならない問題だ。ThresholdにおけるデスクトップSKUの存在はそのための施策であり、特に企業ユーザーを意識したものとなっている。

2014年7月末時点でのデスクトップOSの世界シェア(Net Market Share調べ)

 Mary Jo Foley氏は8月に公開した新しい記事の中で「ThresholdのデスクトップSKUでは、チャーム(Charm)メニューが廃止される」という観測を紹介しており、スタートメニュー復活の経緯と合わせて「デスクトップSKUのThresholdは、Windows 7により近い姿」になることを示唆しているようだ。

 WinRT APIによるModern UIのアプリも動作するが、4月に開催された米Microsoftの開発者イベント「BUILD 2014」のデモで紹介したように、あくまでデスクトップウィンドウの1つとして扱われることになるのかもしれない。

「Build 2014」の基調講演で披露された開発中の新デスクトップ画面。Windows 8.1 Updateの次に予定されているアップデートでは、Modern UIアプリのウィンドウ表示、ライブタイルも統合した新しいスタートメニューが追加される模様だ

 また同記事で触れられているが、タブレットやスマートフォンのユーザー向けに提供される「モバイルSKU」と呼ばれるThresholdでは、ARMならびにAtomプロセッサをターゲットにしているという。そしてタブレット向けのモバイルSKUでは「デスクトップ環境を持たない」としており、先ほど筆者の説明した「Windows Phoneの延長線上にあるOSが、Windows RTを取り込んで7型以上のタブレット領域に入ってくる」という推測に近いものとなっている。

 いずれにせよ、Thresholdに関する詳細情報は、製品が市場投入されると言われる2015年前半より前のタイミングには公開されると考えられる。早ければ、2014年内にも何らかの説明会が開催されるだろう。それがBUILDのカンファレンスか、別の形態かは不明だが、追って本連載の中でまとめていきたい。


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