空気が読めない人にとって、自慢と流行語は鬼門ディルバート(222)

» 2011年06月10日 12時00分 公開
[スコット・アダムス,@IT]

ワシの新しいボートの写真、見たいヤツいないか?


とても良い質問ですね


彼よりボクらの方がよっぽど働いているという事実を考えると……


それに、自分のSUVに搭載したカーナビを使えない彼に比べて、私たちには貴重なエンジニアリングスキルが備わっていることを考えると……


あと、かっこいいボートを買うほどの給料を、なぜか私たちがもらってないことを考慮しても…


ついでに、ボクらが船舶関係にはまったく興味がないことを考えても……


あなたを知らない人間に見せるのが一番いいと思います


どなた?

これを見てもらうためには、お互いあまり親しくならない方がいいんだ


  


 大して働いていないのに、たくさん給料をもらってる上司に道楽をひけらかされて、素直に楽しめる部下なんてまずいないと思いますが、この空気を読めないところが、いかにもボスですな。

 “Boat”を使った熟語や慣用句は、水回りのことに限らず数多くあります。例えば、日常生活でよく使う表現で、「物事を荒立てる」ことを“rock the boat”と表現します。 “His comments rocked the boat”=「彼の発言は物議を醸した」といった具合です。「チャンスを逃す」ことも“miss the boat”と言い、“He missed the boat on improving relations with our partner company”=「協力会社との関係改善の機会を逃したな」というように使います。

 また、数年前には“Nice boat”という、ちょっと面白い俗語が登場しましたよね。 インターネットの掲示板などで、話の流れを変えたいときなどに使う一種の慣用句ですが、皆さんはご存じでしょうか。これは日本の人気アニメの最終回が局の都合で放送中止になり、アニメの差し替えとして、船が浮かぶ風景の画像が流されていた際、誰かが不意にネット上に書き込んだ言葉ですね。視聴者の不満が爆発して大騒ぎになっている中で、こののんきな一言が笑いを誘い、その後しばらくネット上で使うのがはやったそうです。

 でも日本で生まれた言葉なので、海外で使っても、相手がよほどのアニメ好きでない限り、このような意味ではまず通じないでしょうね。国内でも使える場は限られるのではないでしょうか。そう考えると、今回のボスのように何かを自慢するときも、流行語を使うときも、空気を読む力ってやっぱり大切なんですねぇ。

[翻訳・解説:Yvonne Chang]


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