● ● ●
「やる気とは、力あるものがアホから搾取するもの」とは、「悪魔の辞典」で有名な世紀の皮肉屋、A.ビアスばりの名言ですね。社長の訓示などの場で、社員の間を流れるあの寒〜い空気を思い出せば、これはある意味、真実だと言えるのではないでしょうか。
1コマ目の“pep”とは「元気」「活力」のことで、語源は“pepper”=コショウです。1800年代の中盤から「エネルギー」「元気」という意味でも使われていたそうで、動詞として使うと「活気づかせる」という意味になります。例えば“We need to pep up this group”=「このグループを活性化しなければいけない」といった具合ですね。よって、1コマ目の“pep talk”とは「人を叱咤激励するスピーチ」のことなのですが、日本語だとしっくりくる名詞がなかったため、あえて「訓話」と訳しました。
一方、8コマ目の“gut”とは「内臓」のことです。そこから転じて「腹が据わっている」「度胸がある」という意味もあり、“He has the guts”=「彼は度胸がある」というように使います。また、“gut”には「本質」「直感的」という意味もあり、例えば“gut reaction”は「直感的反応」、“gut issues”は「本質的課題」という意味になります。いずれも、体の中心、すなわち“一番大事な部分”というニュアンスから派生した表現と言えますね。
ちなみに、この“gut”は第179回でも登場しています。そう、実は多くの日本人が日常的に使っている「ガッツがある」の「ガッツ」なのですね。そういえば、ディルバートの登場人物たちはもの静かな感じの人たちばかりだと思っていましたが、ガッツを表さないのは「奪われてしまうものだから」という理由だったのですね。納得です。
[翻訳・解説:Yvonne Chang]
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.