またUWPにおけるAppXについて、3点ほど補足しておきたい。1つめに、Windows 10時代のアプリのアップデートは「差分方式」となっている。AppXは単一のファイルだが、実態は複数のファイルの集合体であり、変更があったファイルのみをアップデート時に読み込んでくる形式となっており、無駄な通信や負荷が発生しないようになっている。
2つめが「リソース」管理だ。AppXのバンドル型では、ターゲットとなるデバイスに応じて「アイコン」「画像」「言語データ」といった実行ファイルに付随する「リソース」を適時組み替えてAppXの形式にZIPで固められ、ユーザーの手元へとMicrosoftのWindowsストアのサーバから降ってくる。
つまり、従来は「PCであればスケールが100%か150%のアイコン」「ハイエンドスマートフォンでは250%のアイコン」といった具合にターゲットが絞りやすかったが、UWPによるアプリのボーダレス化と、Continuum採用による単一パッケージでの複数スケーリング(スマートフォンの250%と外部ディスプレイの100%の組み合わせなど)のサポートといった具合に、複数のスケーリングや画面サイズを想定したリソースをあらかじめ用意しておかなければいけなくなった。
例えば「400%スケーリング用のアイコン」を用意しておけば、Windowsが自動縮小してくれるが、機械的な作業のためにどうしても“ぼやけた”ような映像になってしまう。理想としては、アプリ開発者が最大400〜500%をめどに6〜7種類程度のアイコンや画像リソースをあらかじめ用意しておくべきだろう。UWPでは手間がかかると同時に、全体にパッケージサイズ肥大化は避けられないとみられる。
3つめは朗報だが、AppXの外部ストレージへの保存がWindows 10では可能になった。これまで何度か触れているが、Windows Phoneではすでに導入されていた機能で、ひっ迫しがちなメインの「C:」ドライブの容量が大幅に節約可能になる。
前述のように、最大パッケージサイズがWindows 10では大幅に拡大されたため、本体ストレージが32Gバイトのマシンでは非常に厳しい状況が予想される。インストール後のAppXパッケージの外部ストレージへの移動も可能なので、よく使うアプリは本体、それ以外は外部ストレージといった具合に、適時使い分けるといいだろう。
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