「Windows 10 IoT」とはどのようなOSなのか?鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(3/3 ページ)

» 2015年05月30日 13時00分 公開
前のページへ 1|2|3       
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Windows IoTとオープンソースコミュニティ

 前述のように、従来までのWindows Embedded製品群が、やがてはWindows 10 IoTへと収れんしていくことになるが、Windows Embedded Compactという製品はその後も併売され、統合のロードマップも示されていないのが気になるところだ。むしろ「アプリ移植のための手法」が示されているほどで、両者の間には明確な壁が存在する。

 理由は不明な部分があるが、おそらくWindows 10で実現されたカーネルの統合では不都合が生じる可能性があり(スペックやアプリ実行環境上の理由)、現時点では完全な統合が見送られたのではないかと予想している。

 もともとWindowsでの組み込み向けのプログラミングでは.NET Compact Frameworkが利用されてきたが、Windows 10 IoT Coreの実行環境はUWPであり、こうした部分の違いもあるのではないかと考えている。

 Microsoftでは、.NET Compact Frameworkを直接OSとして実装する.NET Micro Frameworkという仕組みを提供しており、こちらはApache 2.0ライセンスでオープンソース化が行われている。.NET Micro Frameworkの特徴はより貧弱なマシンスペックでも動作するという点で、マイコンボードを使ったプログラミングではメジャーな開発手法だ。

 互換性のないプラットフォームの併存ということになるが、既存のコミュニティや開発手法を生かすという意味で、Windows Embedded Compact(現行はWindows Embedded Compact 2013)が残されているのだろう。統合されているようで統合されていない、これが組み込み世界におけるWindowsの立ち位置なのかもしれない

「鈴木淳也の「Windowsフロントライン」」バックナンバー


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年05月11日 更新
  1. 新型「iPad Pro」がM3チップをスキップした理由 現地でM4チップ搭載モデルと「iPad Air」に触れて驚いたこと (2024年05月09日)
  2. 「M4チップ」と「第10世代iPad」こそがAppleスペシャルイベントの真のスターかもしれない (2024年05月10日)
  3. 個人が「Excel」や「Word」でCopilotを活用する方法は? (2024年05月08日)
  4. Minisforum、Intel N100を搭載したスティック型ミニPC「Minisforum S100」の国内販売を開始 (2024年05月10日)
  5. “NEXT GIGA”に向けた各社の取り組みやいかに?──日本最大の教育関連展示会「EDIX 東京」に出展していたPCメーカーのブースレポート (2024年05月09日)
  6. NECプラットフォームズ、Wi-Fi 6E対応のホーム無線LANルーター「Aterm WX5400T6」 (2024年05月09日)
  7. ASRock、容量約2Lの小型ボディーを採用したSocket AM5対応ミニベアボーンPCキット (2024年05月10日)
  8. SSDの“引っ越し”プラスαの価値がある! 税込み1万円前後のセンチュリー「M.2 NVMe SSDクローンBOX」を使ってみる【前編】 (2024年05月06日)
  9. Core Ultra 9を搭載した4型ディスプレイ&Webカメラ付きミニPC「AtomMan X7 Ti」がMinisforumから登場 (2024年05月08日)
  10. これは“iPad SE”なのか? 新型iPadを試して分かった「無印は基準機」という位置付けとシリーズの新たな幕開け (2022年10月24日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー