今回のイベントで筆者が最も注目したのは、「Windows as a Service」というビジョンが明確にMicrosoftによって語られたことだ。すでにMicrosoft Azureなどで似たようなコンセプトは語られているが、Windows as a Service――つまり「1つのサービスとしてのWindows」ということで、Windowsというプラットフォームを数あるインターネット上のサービスの入口の1つとして見なすものだ。
Windowsだけにこだわらず(できればWindowsが望ましいが……)、さまざまな入口を通してMicrosoftの提供するサービス群へとユーザーを誘導し、ビジネスを成立させるというもので、「Windowsの販売」が事業のコアだった以前までとは様子が異なっている。この辺りの事情は過去の記事で分析しているので、興味ある方は参照いただきたい。
Surfaceをはじめ、Nokiaから買収したスマートフォン、Xbox Oneと、Microsoftのハードウェア事業も広範囲なものとなったが、今回はこれに新たに「Surface Hub」と「HoloLens」というファミリーが加わった。
Surface Hubはシャープの大型タッチディスプレイ「BIG PAD」のような電子黒板デバイスに近い。84型と大画面の4Kディスプレイ(55型も用意)に2台のカメラやマイク、各種センサーを内蔵しており、表示したデータにスタイラスで書き込んだり、そのままSkype会議も行える。企業向けのコンセプト商品の1つだろう。
もう1つのHoloLensはヘッドマウントの透過型ディスプレイで、装着者が目視している現実世界の風景にAR(Augmented Reality:拡張現実)によるCG風景が重ねるように描画され、それを自身の手の動作や音声入力で操作できるというものだ。
Windows 10のイベントにこうしたハードウェアの発表をいきなりぶつけてくるあたり、Microsoftが「何か未来技術に対するワクワク感」を提供してくれる企業なのだと再確認できる。このARやナチュラルUI(NUI)に関する機能は、Windows 10にもAPIとして含まれる予定とのことで、今後さらに外部の開発者らの手によって機能の開発が進むことになるかもしれない。
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