問題は、「なぜBuild 10240をRTMとMicrosoftが呼ばないのか」という点だが、その理由は以前の連載のタイトルにも用いた「Windows 10は永遠に未完のOS」という部分に由来するとみられる。
Windows 10は7月29日の段階で「日本語版Cortana」など未搭載の機能も存在するうえで出荷されるが、同社としては7月29日以降も段階的なWindows 10のアップデートで同OSのサービスと機能を強化していく方針を示している。従来はOS完成の目安として重要だった「RTMというマイルストーン」が、1つの通過点に過ぎなくなったのだ。
実際、同社は「Windows 10ではRTMという概念がなく、常に最新のテクノロジーを提供するアップデートが行われる」と述べている。
つまり、先に決めたスケジュールに沿った形でその時点で適切なソフトウェアをWindows 10としてリリースし、以後も拡張や改良を続けて、より完成度を高めていくというわけだ。同社ではこれを「Windows as a Service」と表現しており、「Windows 10が最後のOSリリースになる」とも説明してきた。
これを「未完成」と言うと物足りない製品のようにも思えるが、「未完の大器」とすれば今後も成長の余地が大いにあると感じられる。「こまめなアップデートで常に最新技術やサービスをユーザーの手元に届ける」というのが、Windows 10の開発目標の1つだ。
RTMとしてPCメーカー各社にはBuild 10240に相当するソフトウェアの提供を行ったが、実際にプリインストールPCが7月29日から8月上旬に店頭に並ぶころには、Windows Insider Programや無償アップグレードプログラムを経由してWindows 10をオンライン経由で入手したユーザーは、より新しいソフトウェアを手にしているかもしれない。つまり、7月29日より前にBuild 10240より新しいビルドが提供されている可能性もあり、これがWindows 10の大きな特徴となるだろう。
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