IEの終わりとSpartanの始まり――Windows 10のブラウザ世代交代が明確に鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/2 ページ)

» 2015年03月26日 09時00分 公開
前のページへ 1|2       
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Bye, Bye, IE

 現在のところ、Spartanに関して分かっている機能は、1月のデモで紹介されたものがほぼすべてだ。Windows 10 TPでSpartanが提供されていないことが大きな理由だが、Microsoftでは今後Spartanの情報を主要イベントで何回かに分けて提供していくとしている。

 まずは4月29日〜5月1日に米カリフォルニア州サンフランシスコで開催される「Build 2015」、次に5月4〜8日に米イリノイ州シカゴで開催される初のイベント「Microsoft Ignite」、そして米カリフォルニア州にあるMicrosoft Silicon Valley Campusで5月5〜6日に開催される「Windows 10 Web Platform Summit」というイベントの3つだ。

 位置付け的には、BuildはSpartanの概要全般とWebアプリケーション開発、Igniteは企業向け、Web Platform SummitはWeb標準とWeb開発に的を絞ったイベントになると予測する。今後発表された内容は、本連載で順次フォローしていく予定だ。

 この辺りの予告は3月24日に開催された「Project Spartan Developer Workshop」を紹介するIEBlogの中で行われているが、ここでは同時にSpartanとIEに関する重要な方針変更が発表されている。

 冒頭でも説明した通り、当初Windows 10では2種類のレンダリングエンジン(EdgeHTMLとMSHTML)が搭載され、搭載された2つのWebブラウザ(SpartanとIE11)がともに好きなレンダリングエンジンを呼び出せる方式となっていた。

 だが新方針では「EdgeHTMLはSpartanのみ」「MSHTMLはIE11のみ」という形でレンダリングエンジンとWebブラウザの対応が分けられ、Spartanは新しい標準ブラウザ、IE11はレガシーサポート専用ブラウザという役割が明確になった。

 これはWindows Insider Programや開発者からのフィードバックを得ての決定とMicrosoftは説明するが、「Project Spartan is our future.(Project Spartanは我々の未来だ)」と明言するように、今後の開発リソースはSpartanとEdgeHTMLに集中することになり、「Windows 10におけるデフォルトブラウザ」として機能するようになる。

新方針で示されたSpartanとIEの位置付け
2015年1月の時点では、SpartanがEdgeHTMLとMSHTMLの2つのレンダリングエンジンを搭載すると説明されていた。同様にIE11も、この2つのレンダリングエンジンを利用できるようになると言われていた

 ただし、基本的な動作メカニズムは以前のリポートの内容と大差ない。以前の方針では1つのブラウザにEdgeHTMLとMSHTMLの2種類のレンダリングエンジンが搭載されており、アクセスしたWebサイトによって両者を切り替える方針が採られていた。

 基本的にはEdgeHTMLがデフォルトとなり、Document Mode(Webサイト側でIEバージョンを指定するメタタグをあらかじめ埋め込んでおくことで、最新のIEでも過去のバージョンの動作に則ったレンダリング方式に切り替えてWebページを再現するモード)での後方互換性を維持する必要がある場合にMSHTMLが(自動もしくは明示的に)選択されるといった具合だ。

 これが新方針では両者が完全に分けられたため、基本的にはSpartanをデフォルトのWebブラウザとして使用し、必要に応じてIE11を起動して旧バージョンに準拠したWebサイトへとアクセスする形になる。

 実際にはほとんどのサイトがSpartanの利用で済み、IE11が必要とされるのはごく一部のレガシーアプリケーションが動作する企業のWeb環境に限定されるだろう。このサイトに応じたブラウザの切り替えは「グループポリシー」で行われ、企業システムの管理者があらかじめ設定した特定サイトへのアクセスが発生した場合に、SpartanではなくIE11が呼び出される方式となる。

 IEは今後IE11で打ち止めになるとみられ、Windows 10における実装も「Windows 7/8.1におけるIE11の動作を忠実に再現すること」を主眼としている。Spartanの正式名称が何になるかは不明だが、1995年のWindows 95デビュー以来、Microsoftのインターネット戦略とともに歩んできたIEの歴史は、いよいよ20年のときを経て終わることになるのかもしれない。


「鈴木淳也の「Windowsフロントライン」」バックナンバー


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年06月11日 更新
  1. 初のカラー対応「Kindle Scribe Colorsoft」の実力は? 通常モデルとの価格差1万7000円の価値を検証 (2026年06月10日)
  2. 「Geminiの技術は使うが、Geminiではない」 WWDC26で見えたApple流AIとプライバシー戦略の核心 (2026年06月10日)
  3. ミニPCに強みの「MINISFORUM」 ミニワークステーションの新モデルから「謎の拡張カード」まで多彩な製品を披露 (2026年06月10日)
  4. 「macOS 27 Golden Gate」が2026年秋に登場 初のApple Silicon専用バージョンに (2026年06月09日)
  5. 「次世代Apple Intelligence」をフル活用するにはどのような条件がある? 「Siri AI」は日本で使える? 知っておくべき対応モデルのハードル (2026年06月09日)
  6. 実売1万円切りでパススルー給電にも対応! KTCの15.6型モバイルディスプレイ「H15F9」は“買い”か (2026年06月09日)
  7. コンパクトボディーにスパコン並みのAI性能! 「NVIDIA RTX Spark」搭載ミニデスクトップPCを見てきた (2026年06月04日)
  8. LGが4K有機EL TVの2026年モデルを発表 映像プロセッサを刷新し120Hz以上の高速表示にも対応 (2026年06月09日)
  9. 高騰中のSSD、品薄のHDD──けれど“最終処分”のニーズは変わらず (2026年06月06日)
  10. 夜間もフルカラーで鮮明に記録できる「SwitchBot 屋外パンチルトカメラ 5MP」が15%オフの7674円に (2026年06月10日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー