Windows 10での新しい標準ブラウザとなる「Project Spartan」(開発コード名)については直近の連載でも触れたが、このSpartan自体がユニバーサルアプリであり、ある意味でWindowsプラットフォームを横断して動作する共通のアプリとして機能している。
興味深いのは、Spartanがレンダリングエンジンとして利用する「EdgeHTML(.dll)」は他のアプリからでも呼び出しが可能であり、この仕組みを使うことで「(本来はWebブラウザ経由で利用する)Webアプリケーションをユニバーサルアプリとして配布する」ことも可能だ。これを「Hosted Web apps(Webホストアプリ)」と呼ぶ。
その最大のメリットは「Windowsストア」が利用可能な点であり、本来であれば何らかの導線を用いてWebサイトに顧客を誘導しなければいけないWebアプリケーションを、「ストアアプリ」の形でMicrosoftの公式インフラを通じて配布することが可能になる。
Webサイトではなくアプリとして扱われるため、デスクトップへの“ピン留め”が可能であったり、音声対応パーソナルアシスタントの「Cortana」や(本来であれば難しい)ハードウェア固有の機能にアクセスできたりと、Webアプリケーションに少しの作り込みを加えることで、ユニバーサルアプリとして機能させられる。
おそらくだが、雑誌やマルチメディア系コンテンツをより幅広く流通させる場合、単にWebへと顧客を誘導させるだけでなく、ユニバーサルアプリの配布は選択肢の1つとして検討に値すると考える。
Windows 8/8.1時代には正直なところあまり盛り上がらなかったModern UIアプリの市場だが、さまざまなWindowsデバイスが市場に出荷されていく中で、以前に比べてもサードパーティの活躍する余地は拡大している。
Windows 10の発売がその変わり目と認識している関係者も多く、今年後半以降の市場の変化を見据えた取り組みがWindowsストアを活気づける契機となるかもしれない。
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