今回のBuild 2015で目玉になったProject AstoriaとProject Islandwoodだが、依然開発途上にあり、実際にどの程度“モノ”になるかは今年後半の開発者らによる反応を待つ必要があるだろう。
なお、AstoriaとIslandwoodの名前の由来だが、おそらくMicrosoft本社のある米ワシントン州レドモンド(シアトル)周辺の地名などが由来だと考えられる。実際、ワシントン州と南のオレゴン州の州境に「アストリア(Astoria)」という街があり、その可能性は高いと考えられる(アストリアという地名自体はオレゴン州以外でも存在するが)。
冒頭でも紹介したように、MicrosoftはWindows 10において非常に広い間口を用意し、さまざまなデベロッパーを自身のプラットフォームに取り込もうとしている。
既存の.NETアプリケーション開発は得意としているものの、昨今ブームとなっているAndroidやiOSといったモバイルデバイス向けのアプリ開発が必要となったデベロッパー向けには、Xamarinのようなクロスプラットフォーム開発ツールを提供して支援を行っている。一方で、これまでWindowsとは疎遠な位置にいたモバイル開発者を取り込むべく提案したのが、今回のProject AstoriaとProject Islandwoodだ。
これとは別の2つの軸として、まずWebアプリケーションをUWPと呼ばれるWindows 10のアプリ実行形式に変換する「Project Westminster」という仕組みを用意している。これは「Hosted Web App」とも呼ばれ、Project Spartanこと新ブラウザ「Microsoft Edge」を最大限に活用したものとなっている。
また、既存のデスクトップアプリケーションをUWPという“モダン”なアプリ形式へと変換する仕組みを提供する「Project Centennial」も用意しており、あらゆる方面の開発者らをできるだけUWPへと誘導すべく活動するMicrosoftの姿がBuild 2015では垣間見られた。
最後に今回、Microsoft Edgeに関する解説をするセッションのあるスライドで「Write once, run anywhere(一度記述すれば、どこでも動作する)」というキーワードが書かれているのが気になった。
これはかつてSun Microsystems(現在はOracleが吸収)が「Java」言語を広める際に積極的に用いていたフレーズで、ある意味で「打倒Microsoft」とも呼べる掛け声の1つだったわけだ。時代は変わり、プラットフォームが再び分裂しつつある現状で、Microsoftがこのフレーズを掛け声に開発者を集めているというのも非常に感慨深いものがある。
Build 2015のセッションで見かけた「私たちの夢、それは“Write once, run anywhere”」のキーワード。まさかMicrosoftからこのセリフを聞ける日が来るとは……と思う読者もいるだろう
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